なんだかな

長いこと勤めてたおっちゃんが亡くなった。
最後まで会社に所属したままだった。

9/28の木曜に、10/2の月曜は出勤日だけど、病院に行くから休むと言った。腕を見せて、ほら内出血してるねんと言った。
どうしたんですかと言ったら、がんやな、がん! ハッハッハ。と言った。
冗談だなと思って流して、内出血治るといいですねとかそんなことを言ったと思う。

10/2の月曜は予告通り休みだったようだ。私はコロナワクチンの副反応で発熱して休んでいた。
火曜も大事を取って休み。
水曜、書類がどっさりでとりあえず処理。10/5の木曜におっちゃんが出てきたらチェックしてもらわなければならなかったから、処理済・チェックは急ぎませんとメモを付けておっちゃんの机に置いた。

10/5、出勤日なのにおっちゃんは来ていなかった。
朝は必ず誰より早く来る人で、休む連絡を忘れたりするような人ではない。
そんな人が来ていないなんて、あからさまにおかしいと思った。周りの社員もおかしいと言った。
出勤してきた社長に報告、一人暮らしだし体調も万全ではなさそうだからと言ったら、僕が見に行くと言って、同じように長年勤めてる嘱託顧問のおっさんと社長は出て行った。
死んでいないだろうかと10分おきに携帯に電話し続けた。電話は生きているけど出なかった。

戻ってきた社長からの報告は、10/2の月曜に緊急搬送されたということだった。
家は閉まっていて返事がなく、万が一のことを考えて警察に連絡したらしい。鍵がないため警察も家には入れず、しかし変なにおいがするなど異常はないため、留守ではないかと言う見立て。近くに病院があるのでそちらにも確認を取ってみるという事で、お願いしてきたそう。
その後警察から連絡があり、病院に確認をすると入院していることが判ったが個人情報と言うことでそれ以上の情報はもらえなかったとのこと。
身内ではないから仕方がない。あちらで身内を探しているようだが、会社としてはこれ以上何もできない。
何か連絡があれば対応しようということになった。

10/7土曜から三連休。10/10火曜に出勤したら、普段は重役出勤の会長が朝一で来ていた。社長と話をしている。
こっちに来てくれと呼ばれた。

10/6金曜の深夜に彼は亡くなったと告げられた。
会社には全く報告されていなかったが、末期の胃がんだったそうだ。

先々週の木曜、笑って話をしていた人。
一週間後にはまた会うと思っていた人。
先週の木曜に入院の事実を知り、入院か、書類がたまるなあ、整理しておかないとな、と思っていた。
短期の対応は出来るようみんなで環境は整えたけど、長期になったら仕事の回し方をきちんと考えないとだめだよねとか思ってた。
いずれ戻ってくると当然のように思っていた。

わたしにがんだと言ったのは、あれは冗談だったんだろうか。それとも本気だったんだろうか。
彼は自分の病気を知っていたんだろうか。知らされずにいたんだろうか。
最後に見た姿は、元気でいつも通りだった。
諸々の数値が悪いという話を私の同僚にしていたようだが、以前より白っぽくなっておじいちゃんぽくなったとは思っていたが、しんどい様子を見せたことはなかった。
あれは空元気? それとも自覚症状が無かっただけ?
もう何もわからない。

今日行われる、藤井聡太の八冠をかけた対局を楽しみにしてた。
大好きな演歌を9/22にたくさんダウンロードしてた。
こんなに早く先が無くなるなんて、本人も全然思ってなかったと思う。

おっちゃんが大好きだったわけじゃない。でも入社して34年、ずっと一緒の会社の中にいた。
話が長くてどうでもいいことが多かったけど、ほどほどに円滑な付き合いをしていた。

知っている人が突然居なくなるというのはこうも呆然とするものなのかと思っている。
実感がなく、朝普通に席に座っているように思える。

顔を見たら多分泣くと思う。
葬式は人数制限があるからいけないかもしれないけど。

お疲れ様でした。
藤井聡太勝ったよ。史上初の八冠だよ。新聞お棺に入れるってMさん言ってたよ。
初代社長と二代目社長に会えたかな。ごくろうさんって言ってもらえたよね。
長いことありがとうございました。
さよなら。

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