リョウさんとコトネの急接近
ミツキが去ってから、家は静かになった。リョウは感情の起伏が激しくなり、些細なことで涙を流すようになった。マシューは相変わらず墓掘りの仕事に出ており、昼間はコトネと二人きりで過ごすことが多かった。
コトネは何も聞かず、そばにいた。姉のしたことを詫びることは一度もなかった。夜、灯りを消し忘れているとコトネが黙って消しに来る。そんな夜が何度も重なった。
ある日、庭先でリョウは涙をこぼし、コトネがそれを抱きしめた。だがその安らぎも長くは続かず、一人になるとまた虚しさに沈んだ。
リョウには、コトネを受け入れられない理由があった。ミツキを満足させられなかったのは自分のせいだという負い目。そして、失っていたはずの記憶――前の世界でツカサと過ごした日々――が、この頃ふいに蘇っていた。忘れられずにいる相手がいるまま、この清らかな人に触れるわけにはいかなかった。
コトネもまた、何かをこらえるような顔を時折見せた。それが何なのか、リョウは聞かなかった。
決着のつかないまま、秋が深まっていった。
