ニュー・シネマ・パラダイス

映画好きなら押さえとけ、と言われている珠玉の名作。撮りだめしたビデオテープを消化してたら出てきたんで、見てみた。

映画好きな少年と彼が慕っていた映画技師との心の交流がメインの話なんだけど、あたいは、アレは映画館を取り巻く話だと思ったよ。

狭い村でたった一つの娯楽だった映画館。訪れる観客はそこで笑い、泣き、興奮する。寝るためだけに通い続ける奴もいるし、恋人との密かな逢瀬を楽しんでるヤツもいる。

幼い頃から映画技師の仕事をしていた主人公サルバドーレ(トト)が村を出て行くまでは、映画が見られないと暴動が起きるほど最高級の娯楽場、それが映画館だった。

そしてトトが30年ぶりに戻ってくる。

そこで、映画館が取り壊される話を聞く。すでに閉館して6年の年月が経っているらしい。理由は、テレビやビデオの普及で客が来なくなったからだ。

トトが戻ってきたのは人生の案内人であり父のようでもあった映画技師の葬式に出るためだったんだけど、その式に参加したのは昔映画館にいつも訪れていた人たち。

その後、予定どおり取り壊される映画館。見守るのは、葬式に参加していたのと同じ顔ぶれ。

俺たちの映画館。俺たちが愛した娯楽場。俺たちが笑い、泣き、興奮した場所。

爆破され、がれきになった映画館の前で、泣くでもなくただ、それぞれの思いを抱えて立ちつくす人々。

あたいはこの、それぞれの思いを観客に感じてもらうために、だらだらと盛り上がりもない場面が続いたんだろうなあとか思った。

おっさんトトが映画技師の訃報を聞く→思い出モード→葬式→映画館爆破。

2時間枠のほとんどが、この思い出モード部分です。

この映画、劇場公開された時はカットされた部分が多くて、後に完全版ちうのがビデオだのDVDで出てるらしい。けど、切られてる部分がそのトト本人に関するシーンばっかりらしくて、恋愛だの仕事だのがだらだら長いらしい。だから完全版は逆に駄作だという意見多いね。

映画技師アルフレードがトトにいろいろと人生について語るシーンが、目立って良い出来だからだろうな。



文字にするとなんだかすごくつまんなそうだな。

実際この映画って、通して見ないと非常につまんないと思う。アメリカ映画見たく盛り上がりがないのね。だらだらと静かに時が進行していくって感じ。その「時」と主人公と一緒に感じていかないと、良さが全然伝わらない。ヨーロッパ映画はこの傾向が強いように思うな。

#この映画はイタリア映画。

最後のシーンでトトが映画技師の形見として貰ったフィルムを見るんだけど、ココだけ見たら、絶対意味不明でつまらないこと間違いなし。

そのフィルムを見て、曖昧な顔のトトの気持ちは、映画を通して見ないと想像つかないもん。

ポテチとビール片手に笑ったり泣いたりツッコミを入れたり、そういう映画が好きな人には全然お勧め出来ない映画だなぁ。

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